猫は泌尿器の病気にかかりやすい動物です。その病気の一つ【尿石症】。
愛猫の健康を守るため、日々のチェックに早期発見、予防が大事ですよね。
それはわかっていても…
- そもそも尿石症ってどんな病気?
- かかった時の症状は?
- 普段、何をチェックをすればいいの?どうなっていればかかっている可能性があるの?
- かかる原因と予防方法は?
などの疑問を持っていた愛猫家の私。
この記事はそんな私が疑問に答えられるよう色々調べ、まとめたものです。
我が家のにゃんこも尿石症にかかった事があります。
愛猫が病気にかかるのはとても辛いことです。体験談なども含め、まとめたものを紹介します。少しでも参考になれば幸いです。
目次
そもそも尿石症ってどんな病気?
尿石症とは、尿の中の成分が結晶化して尿路に結石が出来る病気の総称です。
総称ということで、病気の正式名称ではありません。正式名称は結石が出来ている体の部位によって、
- 腎臓結石
- 尿管結石(尿管とは、腎臓と膀胱をつなげる管)
- 膀胱結石
- 尿道結石(尿道とは、膀胱から尿を体外に排出するまでの管)
と異なった呼ばれ方をしています。これだけ色々なところに結石が出来る可能性があるということですね…。なんて恐ろしい。
結石が出来ると排尿がしにくいというだけではなく、結石により膀胱を傷つけ「膀胱炎」の発症にもつながります。
また、尿道に詰まると排尿ができなくなる「尿道閉塞」となり、命を落とす危険もある「尿毒症」につながります。
特にオスは尿道が細く、メスよりも結石が詰まりやすいという特徴があります。
そうならない為にも、尿石症にかかった時に現れるにゃんこの症状・異変を把握し、普段からチェックをして早期発見をすることが肝心ですね。
かかった時の症状・異変
尿石症にかかった猫がとる行動や、オシッコに現れる異変について
- オシッコの量
- オシッコの色や見た目
- 排尿時のにゃんこの行動
の順に紹介します。
①オシッコの量の変化
結石ができて尿路に詰まることで、
- オシッコの量が減る
- オシッコが全く出ない
という症状が現れます。
一般的に体重1kgあたり1日に25ml前後のオシッコをするらしいですが、もちろん個体差があり、その時に飲んだ水の量でも増減します。
よって健康時の愛猫のスタンダードな尿の量を把握しておくことが重要ですね。
システムトイレなら吸収シートを外すかラップを敷いて普段の量を把握したり、固まる砂なら普段の砂の塊の大きさを把握しておいてください。
②オシッコの色や見た目の変化
色や見た目については次のような変化が現れます。
- キラキラしている(結石がそのまま出ている)
- 濁ったり、色が濃い(炎症や尿の濃度が高い)
- 血が混じって赤い(結石が尿路を傷つけている)
猫砂の塊や、トイレシートをしっかりチェックすることで発見できます。
量の時と同様で、健康な時の尿の状態を把握していることが重要ですね。
③排尿時の行動の変化
最後に、排尿時の変化について。
- トイレに行く回数が増える(正常な成猫は1日2~4回、個体差あり)
- トイレにいる時間が長い
- トイレで辛そうに鳴く、うずくまる
などの異変を発見したら、尿石症の疑いがあります。
オシッコが少ししか出ないか全く出ないけど出したいので「回数が増え」、オシッコが出にくかったり炎症による残尿感から「時間が長く」なり、排尿時の痛みから「鳴く、うずくまる」ということです。
普段のチェック項目
猫にとって尿石症はかかりやすい病気で、放っておけば命にかかわる病気を引き起こすこともある恐ろしいものです。
ですが、普段から愛猫の様子や排泄物をチェックすることで、早期に気付く事が出来る病気でもあります。
普段から上記の症状や異変が現れていないか、確認をしてください。
改めてチェック項目をまとめると、
- 尿の量は正常か?(健康時に比べて一回の量が少なくないか、またはトイレにいっても排尿していない、ということは無いか)
- 尿の色や見た目は正常か?(キラキラしていないか、濁っていないか、濃くはないか、赤みを帯びていないか)
- 排尿時の行動は正常か?(トイレの回数は多くないか、一回の時間が長くないか、トイレで鳴いていないか、うずくまっていないか)
いずれの項目も、健康時の愛猫の状態を把握し、それと比べることで発見できるものです。普段のチェックが肝心ということですね。
また、変化が小さすぎて判断に困ったり、チェックしても正直わからない!ということが多々あるかと思います。
そんなときは迷わず獣医師さんに相談、尿検査をしてもらいましょう!それで何もなければ、愛猫が健康だということが分かり安心できます。
私は良い方の空振りはいくらでもするという気持ちでやってます。迷っている間に状態が悪化するより百万倍もマシですから。
かかる原因と予防方法
尿石症にかかる原因を知ることが出来れば、発生させないため予防することもできますよね。
原因は大きく分けて以下の通り。
- 体質や生活習慣で尿が濃くなる
- 冬に水を飲む量、排尿回数が減る
- 尿のpHがアルカリ性、酸性に傾いている
- ブドウ球菌などの細菌に感染している
それぞれの解説と予防方法を紹介します。
①体質や生活習慣で尿が濃くなる
そもそも猫は体の構造上、尿が少なく濃い傾向にある動物です。
ですから、水を飲む量が減ったり、トイレを我慢したり行く回数が減ったりすると、元々濃い傾向にある膀胱内の尿がさらに濃縮されて長時間たまり、結石ができやすくなるということです。
予防方法
- 常に水を飲める環境を作る。猫の居場所に2か所以上がベター。
- 適度に遊ぶことで喉が渇き、水を飲むことを促す
- したいときにすぐ排尿できるようにトイレを常に清潔に
- 飲水量が少ないと感じたらウェットフードを与えたり、水分を含んだおやつを与える
②冬に水を飲む量、排尿回数が減る
猫は寒さが苦手な動物です。
個体差はありますが、冬はあまり動きたがらないので、喉が渇くことが減ります。また、そもそも水を飲みに動く、ということも減る傾向に。
さらにトイレに行くことすらおっくうになり、冬は①と同じ状況になりやすいということです。
予防方法
- 寒い日の愛猫の行動傾向を把握
- エアコンで室内を適温に
- 猫の居場所にトイレをもう一つ追加(手を伸ばせば出せる)
- 水飲み場を複数個所に設置(手を伸ばせば飲める)
- 飲水量が少ないと感じたらウェットフードを与えたり、水分を含んだおやつを与える
③尿のpHがアルカリ性、酸性に傾いている
pH(ペーハー)とは、その物質が酸性かアルカリ性かを示す単位です。理科の実験でリトマス試験紙を使って調べたことがあるかと思います。
pH7.0が中性。数値が小さいと酸性、大きいとアルカリ性を表します。目安は専門家によっても多少異なりますが、pH6.0~7.0の弱酸性が正常のオシッコの目安とされているようです。
また、結石の種類はいくつかあり、代表的なものが「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」の2つ。それぞれ結晶化しやすい尿pH値や発症しやすい年齢があります。
「ストルバイト結石」はアルカリ性に傾くとできやすく、7歳未満の成猫がかかる傾向が多いそう。こちらは結石が大きくなければ療法食で溶かすことも可能です。(※pH6.6以上で結晶化しやすいとの見解もあります)
「シュウ酸カルシウム結石」は酸性に傾くとできやすく、成猫の中でも比較的高齢期に多いとされています。こちらは溶けにくい性質があり、発症した場合は手術をして摘出しなければならない事が多いようです。(※pH6.0以下で結晶化しやすいとされています)
予防方法
- 普段からpHチェッカーで尿のpH値をチェック
- pH値がどちらかに傾いているようならユリナリーケアの食事を与えて弱酸性をキープ(獣医師さんと相談しながら)
ちなみに我が家では「ねこのきもち」の付録でついていたオシッコチェッカーを使っています。
pHチェックの注意点
ただ、にゃんこの尿のpH値は日によって多少ですが、上下に変動します。
さらに食後はアルカリ性に傾きやすい性質があります。
よって一回のチェックで判断せず、なるべく食前の尿を数回チェックした結果をふまえ、最終的な判断をした方が良いかと思われます。
我が家で一度発症した後は、こちらのロイヤルカナンのユリナリーケアのカリカリを定期的に与えています。
獣医師さん曰く、ユリナリーケアのフードには水を飲むことを促す効果が含まれているものもあるそう。
④ブドウ球菌などの細菌に感染している
我が家のにゃんこが発症した時は、これが原因でした。
動物病院へ連れていき、膀胱から直接採尿をしてもらい検査をしたところ、「ストルバイト結石」と「ブドウ球菌」が検出されました。
獣医師さんによると、「体の中のどこかに細菌がいたとしても、膀胱までに至る過程で免疫力などで淘汰され、健康体であれば膀胱の中にブドウ球菌がいることはない」とのこと。
つまり「ブドウ球菌」が膀胱の中にいるということは細菌に感染しているか(膀胱炎を発症する可能性も)、トイレ等からの触接的な感染経路が考えられます。
この「ブドウ球菌」は尿をアルカリ性に傾ける性質があります。つまり、我が家のにゃんこは「ブドウ球菌」が膀胱内に入ってきた結果、尿がアルカリ性に傾き「ストルバイト結石」ができたということでした。
ちなみに、メスの方が尿道が太く、短いのでトイレなど外部から細菌感染しやすいとのことです。
予防方法
- トイレをはじめ、愛猫が使うものはとにかく清潔に保つ
これに尽きますね。
かかった時の対処方法
これに関しては、発見した時期と猫ちゃんの体の状態によって異なるので、獣医師さんと相談し、最適な方法を選択してください。
我が家の場合は発見が早く、見つかった「ストルバイト結石」も小さかったので療法食を与えて少しずつ治療をしました。
「ブドウ球菌」にも感染していたので、同時に抗生剤を投与するという治療法を行い、無事に回復しました。
発見が遅く、結石が大きくなってしまうと手術の可能性があった…と考えるとゾッとします。
定期的な尿検査、健康診断を
【尿石症】は再発しやすい病気です。
今でも普段の状態のチェックを欠かさず、獣医師さんと相談しながらユリナリーケアの食事を与え、半年から1年で定期的な健康診断を行い、再発防止に努めています。
尿検査だけなら自宅で採尿が出来れば、大きなストレスを与えずに検査もできますし。
自宅で採尿する方法については以下のリンクをご参照ください。
皆様の愛猫の健康のため、参考にしていただければ幸いです。